x4160677 - Part 93
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今日は青葉アートスクールの冬季講座、岩手の雪景色を描いてもらいました。水彩で雪を描くということは、紙の白地を残すということです。影の色はグレイではなくあちこちの色が反映している、と、実例ふまえて伝えましたが、みなさん、わかってくださったようでうれしかったです。
さて、アルティオ展示継続中の「フネ図鑑」から今日は水彩で描いた「ブルターニュのヨット」です。
彼女(フネは女性名詞です)と出会ったのは、フランスブルターニュ半島の小さな港町でした。カンペールから路線バスを乗り継いで1時間弱くらいだったと思います。カンペールに宿を取ろうと思ったら、どこも満室。運良く部屋を予約できた町が、港町ラフォーレフーナンでした。
港には小さな漁船やヨットがもやわれていましたが、目を引いたのはそのペインティングの色合いです。
描いたヨットに使われていた色は、パープル(!)にグリーン(!!)ですよ…。この「反対色」をみごとに塗り分けるフランス・ブルターニュ人のセンスに脱帽でした。
ちなみに使っている透明水彩絵の具は、フランスのセヌリエ(Sennerier)。保湿力が高さが、私の描き方(混色)にちょうどいいのです。
作品サイズ11㎝×23.5㎝ ¥37500(税込)
ところでブルターニュはケルト文化の薫り高い地方です。
私のブルターニュ旅は、好きなケルト文化の薫りを求めて、の旅でした。
流れ行き着いたラフォーレフーナンでは、とんでもないサプライズがまっていたのです。
宿も取れず意気消沈した私たち(妻と子供同行のバックパックの旅でした)が、名も知らぬ町に流れ着いたその日、町の広場で偶然「ケルト音楽祭」が開催されていたのでした。
神様は行くべきところへ導いてくれるのだ、と、確信をもった日でした。
アルティオの語源は古代ケルト語で「クマの女神」です。仙台でケルト語を店名に使っているショップは、ごくごく少数、あっても数えるほどかと思います。ブルターニュケルトの「旅の導き」をお客様にバトンリレーできればいいな、と思っています。
水彩で描いた古代ギリシャの三段櫂船。 (さらに…)
今日からアルティオ斜め向かいのギャラリー喫茶・ガレで展示がスタートしました。
東北の海辺を描いた水彩風景展です。青森、秋田、岩手、宮城、山形。そして福島と東北六県をカバーしました。小さな漁村ほど絵になるのは港スケッチの定石です。
もちろん港でなくとも、漁師達が暮らす浜の風景は、「潮風が風景を美しく仕立ててくれている」ので、それだけで絵になります.
山形、秋田の海辺の集落はなかなかどうして、ついクルマのハンドルを切ってしまうのです。ここ十年ほど潮風まかせにハンドル切り続けた、そんな結果発表でもあります。
さて、同時進行でアルティオ開催中のフネ図鑑より、今日は古代ギリシャの三段櫂船の紹介です。
その昔、古代地中海世界ギリシャにアテネとスパルタが二大都市国家として君臨していました。そんなところへ東方から強大な帝国ペルシャが攻めてきます。アテネスパルタはまったく違った性格の都市国家でしたが、ペルシャが都市国家を次々落として迫り来る危機の前、主義が違うなんて言っていられない。そんなわけで、連合してペルシャと戦います。
映画になった「300」は、ペルシャ戦争のテルモピュライの戦いを描いた作品でした。主役はスパルタでした。陸軍として強いのがスパルタ、それに対して、海軍力が高かったのがアテネでした。
サラミスの海戦で名将テミストクレスが率いたギリシャ連合海軍が勝利、ペルシャ戦争が転換します。
海戦で使われた船が、三段櫂船。都市国家の低い地位の市民がオールを漕ぎ、貴族は重装歩兵として敵と刃を交えるのです。
船首に突き出た衝角を敵船の横腹にぶつけ沈める。あるいは敵船に乗り込んで白兵戦…という戦い方だったようです。
ちなみにノブレス・オブリージュという、地位に基づいた責任を果たす、というヨーロッパの貴族道徳がありますが、ルーツは古代地中海世界にあります。高貴な位の家出身の兵は、敵に一番近いところに自ら位置を取りました。高位の重装歩兵ほど戦死率が高かったといいます。
ちなみに私の学生時代の専攻は古代地中海世界の歴史でした。そんなわけでこの絵は、当時から描いてみたいな、と思っていた船なのでした。
作品サイズ27㎝×14㎝ ¥48,600(税込)



『海画展第二期〜古山拓のフネ図鑑〜』から「帆船エンデュランス号」の紹介です。
探検家、サー・アーネスト・シャクルトン卿が率いた南極探検隊の乗船した帆船がエンデュランス号。南極で船は氷に押しつぶされ遭難。救命ボートで乗組員全員が奇跡の生還をはたしました。
と書くとなんだと思われてしまいますが、その遭難からの生還は想像を絶します。レーダーも無線も無い時代、知力体力気力を尽くし生還した彼らを記したノンフィクションは一読に値します。
そんなシャクルトンはじめ、乗組員に敬意を表し描いた一枚です。
「エンデュランス号漂流記」など複数の書籍が出版されています。
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国内なのに異国の感覚をもらえる場所ってあります。青森はそのひとつです。
本州の一番てっぺん、青森県の左側の北海道に向かって延びる半島が津軽半島ですが、以前、太宰治の小説「津軽」の舞台を描こうと旅したことがありました。津軽取材は3度目でしたが、半島の沿岸部をトレースしたのはその旅がはじめてでした。
ルートは弘前から陸奥湾に向かって北東に向かい海沿いに出ます。そのあとはひたすら海岸線に沿って北上しました。いくつもの小さな漁村があります。岩手出身宮城在住の私にとっては、「海」というとリアスの海が刷り込まれていますが、津軽の漁村は趣を異にしていました。
この絵は今別で描いた一枚です。
今別は過疎が大きな問題になっていると聞きました。しかし私にとってはスケッチのモチーフとしてはいたるところに画題がごろごろある魅力的な町でした。不思議と感じる空気感が、異国のそれ。言葉ではうまく言い表せないけど。「みつけた!」感が全開になるところです。
今週金曜日から、アトリエアルティオ斜め向かいにある、カフェ&ギャラリーガレで「みちのく海景」と題した展示がスタートします。ただいまアルティオならびに近所のカフェトムテさん、バレアリックコーヒーロースターさん、一番町開国屋さんで開催中の『海画展』のワンクールです。
ガレでは、福島、宮城、岩手、青森、秋田、山形と東北六県の海辺を水彩で描いた風景画を展示します。
アルティオで開催中の「古山拓のフネ図鑑」展示とあわせて、ランチしがてらご覧いただければ幸いです。