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震災と洪水と〜恩送り絵本

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震災と洪水と〜恩送り絵本

今、個展準備を日々しています。3月9日から晩翠画廊で開催の、東日本大震災から10年節目の個展です。今日は水彩画を描くかたわら、案内状のデザインをしていました。

実はその仕事と同時進行しているのが、「熊本人吉洪水被害から立ち直ろうとする人々を支援する絵本プロジェクト」です。(長いな=汗)
声がかかったのは半年ほど前のことです。
事実をベースにした絵本となりますので、11月には人吉に取材現地入りしてきました。いま、その絵本の文章と絵コンテと取っ組み合っている最中でもあります。

話を戻します。冒頭の個展のテーマは「海」です。
三陸を襲った津波被害から10年、自分が繰り返し訪れ、感じてきた「海」を描きます。
実は、10年前の大震災数日後、運悪く?個展が決まっていました。画廊マネージャーの提案で強行開催。そのことがトラウマ?となり、311の日に合わせ、画廊から個展の予定が組まれました。4年ほど開催したでしょうか。

当時、画廊では震災復興支援個展と銘打っていました。売り上げの一部を義援金として寄付しました。と書くと偉そうですが、決して100%聖人君子のような気持ちで取り組んでいたわけではありません。(ごめんなさい)
画家は、なんのことはない、自営業です。絵を売らなければご飯が食べられない。米代をなんとかしなけりゃ、、、という超リアリズムなナマナマしさがあったのです。
気がつくと9年の歳月が過ぎ、大勢の人たちの助けで生き延びている自分がいます。

そこへ編集者の栗山さんから絵本の話がやってきたのです。栗山さんは私が絵を手掛けた「海の見える丘・絵本版」(くすのきしげのり/作)の版元の方でした。
「今回の絵本な、洪水に遭った熊本復興支援なんよ。古山さんの姿勢にぴったりやと思うから、一緒にやらへん??」
「いや、オレ、姿勢悪いし…」「その姿勢はしゃあないわ…」と気がつくと、栗山さんら数名と熊本人吉に入り、現場を視察しました。

現地の状況はひどいものでした。復旧はコロナ禍の影響で足踏み状態。
現地商店街で店が開けられない状況を見た時にふと思い出したのは、東日本大震災の時の「なんとしても食わなきゃ!」というざらついたナマ感覚でした。

「今、人吉の人たちは、自分が味わったあの苦さを味わっているのではないか?」
そう思うとやるせなくなりました。

一人自営業の私が、ざらついた気持ちからどうやって抜け出たのか?それは根拠のない「絶対未来は開ける」ということを疑わずに信じ切っていたから。これに尽きるように思います。

東日本大震災から十年節目を考えた絵画制作と、熊本豪雨被災地に「絵本を届ける」プロジェクトが同時進行しているのは、偶然とは思えません。
「サムシンググレート=大いなる何か」に「10年前に受けた恩を絵本で恩送りをせよ」と言われているようにさえ思えるのです。

絵本は、クラウドファンディングで資金を集めて作ります。
目標は出版経費の350万円です。
以下にクラウドファンディング・キャンプファイヤー のサイトをリンクします。
賛同・ご支援いただければとても嬉しいです。
https://camp-fire.jp/projects/view/350744

「大いなる何か」が、これから先、自分にどんな景色や出合いをくれるのだろう?
また前に進んでさえいれば、新しい風景が見えるんだろうな、きっと。

個展のタイトルは、「海のFuga [風画]」です。繰り返しおとずれた海辺はまるでフーガだなあ、と感じたのでした。