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「メルカート」100号・絵とエッセイを手がけました

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「メルカート」100号・絵とエッセイを手がけました

東北通信情報懇談会の情報誌「メルカート」の絵とエッセイを担当していますが、最新号100号が完成しました。エッセイでは飯豊の風景イラストに女流探検家イザベラバードのことをからめています。

以下が連載のエッセイです。ご笑覧ください。

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山形・飯豊  アルカディアの春

 旅には人それぞれのスタイルがあっていい。三食ガイド付きパックツアーも、リュックひとつでのふらり旅も大切なのは、どれだけ旅から余韻を持ち帰れるか、だ。

 若い頃は「ツアーは邪道!」なんて息巻いていたけれど、最近はどちらが良くてどちらが悪い、なんてナンセンスだと思うようになってきた。大切なのは旅スタイルに目的が合うかどうかだろう。私の場合は「かなりコアなテーマ」を決めて旅に出ることが多い。自ずと単独行となる。

 明治期、イギリス人女流探検家イザベラバードの足跡を山形の置賜地方に辿ったことがある。彼女の「日本奥地紀行」には地名が丁寧に書かれているので、ルートをなぞるのは比較的容易にできる。

 地名をチェックし、出発した。クルマ一台がやっとの山道に「クマ出没注意」の看板が立っていたりすると、「嗚呼、興味が同じ仲間が居るといいなあ……」なんて思うわけで、人間は実に勝手なものだ。

 山道を抜け、開けた飯豊にはいると、風景のなんと清々しいことか。「ここは日本のアルカディアだ」と米沢平野(置賜盆地)を記した彼女の気持ちが痛いほど迫ってきた。今でも置賜に旅すると、その安堵感がリアルに蘇る。イザベラバードを辿った旅の余韻は、いまだに自分の中に息づいている。

(絵と文・古山拓)

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オリジナルの水彩イラストはこちらです↓