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「個展をしたいって?ふ~~ん、、、ヨーロッパの絵ね。岩手の生まれなら、東北を発表しな。東北を描き続けるってんなら個展をさせてやるよ」
東京の某画廊オーナーが20年ほど前、個展はじめたばかりの怖い物知らず+あおっちょろい私の心に、ぐさりと突き立てられた言葉です。

今、ふりかえると、この言葉が20年、カタチどうあれ「描くことで食う」という奇跡的なことを支えてくれていました。オーナーは今は鬼籍に入ってしまいました。
画廊オーナーの言葉が発端となってはじまった、時間を見つけての東北行脚。かれこれ20年ほど絵描き目線で東北を見てきたことになります。

民俗学者が調べる東北。テレビや新聞で取材される東北。文筆家が記す東北。それぞれがそれぞれの言葉を持って、東北を語っています。ならば、私の言葉はへたくそなりに線描と絵の具なのでしょう。自分なりにテーマを決め、本を調べたりしての絵の取材でした。
絵は無言の表現ではあるけれど、歴史を知るなど下ごしらえをして見遥かす。そうすることで風景は、何も知らずにただ見て描く風景とは違ったように見えると思うのです。

20年経った今、依頼され続ける仕事のひとつに「祭り」があります。

祭りは東北各地、その地に代々根ざしてきた人々の記憶のモニュメントでしょう。華やかさの影に,忍耐、哀しみや怒りといった民の感情が、ちらりちらりと見え隠れするように思えます。そんな影をすくい取ることは絵ではなかなか難しいけれど、制作の時の心持ちは変わって来るというものです。そんなとき、自分なりの東北行脚を続けてきてよかったな、と、思うのです。

チャグチャグ馬こは、盛岡の祭り。この絵は東北労働金庫の情報誌表紙に描き下ろした水彩画。
最後の絵は、JR東日本「駅長オススメの小さな旅」の最新パンフ表紙イラスト。福島県須賀川の「松明あかし」です。

東北を歩いて、読んで、水彩画やイラストを描く。歩くこと、調べることは、役者さんが演技するにあたってする「役作り」に似ているかもしれません。