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子規の歩いた宮城に行こう

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子規の歩いた宮城に行こう

「宮城県以外では、売れないんだろうな、、、」

本を書いた当初、正直に言うとそんなふうに思っていました。拙著「子規と歩いた宮城」です。

正岡子規のみちのく一人旅を今にたどってみて書いた、絵とエッセイによる本です。

ところが先月7月、大阪阪神梅田本店での個展で原画展開催を打診され、原画十数点と書籍を持ち込みました。はじまるまでも、実は「スルーされるんじゃないか…」という大きな不安がありました。

蓋を開けてみたところ、嬉しいことのその不安は杞憂に終わりました。

そして時期同じくして、以前神戸個展で本を求めてくれていた三重県在住のNさんから連絡が。

「古山さんの本を持って宮城を旅します!泊まる宿は、2泊とも岩松旅館に決めました!」

土地勘のない三重のNさんです。2泊3日という限られた時間の中で、ロスがなく、みちのくを楽しんでもらえるコースを勝手ながら提案させていただきました。

そのNさんが、嬉しいことにFacebookで宮城旅のことをつづってくださいました。

転載をお許しいただきましたので、以下、ここに全文をアップします。

+ + +

ケニア在住の長女が一時帰国で

念願の娘との二泊の旅へ。

古山 著「子規と歩いた宮城」

(「はて知らずの記」水彩紀行)

を辿りながらの、娘との宮城の旅

    **************

ご縁あって、この一冊と出会ったのは昨年のこと。

神戸での、古山拓さんの個展にて迷わず購入し、一気に読み終えてしまった。

それから、何度も何度も読み返し、

私自身、想像の世界で、私の旅を重ねていた。

時代を自由に行ったり来たり

描かれた風景に

様々な色や臭いや音を感じながら

水彩画に添えられた

古山拓さんの紡ぎだす言葉に

心から共感し

心を震わせながら

何度も何度も

繰り返し読んだ。

そして

いつしか

それは、私の旅への希望へと

繋がっていった。

『そうだ!宮城に行こう』

ぎっしりの予定の間をぬって

古山 著「子規と歩いた宮城」

を辿りながら、宮城二人旅の実現となった。

限られた日程の中で

どんなふうに辿っていこう。。。

ここは絶対にはずせないなあ~等々

そんな私たちに

的確なアドバイスをくださったのが

著者であり水彩画家 イラストレーターの

宮城在住   古山拓さん。

地震や大雨の影響で

様々な遅れが生じたものの

安全確認も意識しながら

娘との旅は始まった。

塩釜から船で松島へ

松島から列車で作並温泉へ

作並温泉から山形 山寺へ

作並温泉から古山拓さん&久美子さんのアトリエ 『森のアルティオ』へ

震災の様々な記憶、想いを抱きながら

また、9年前に他界した父との記憶を辿る旅でもあった。

父は、音楽をとても愛していた。

好きなジャンルは

ジャズから民謡、演歌、クラシック等々 幅広い。

独学でヴァイオリンも弾いていた父。

幼い頃

初めて父が教えてくれたのは

宮城民謡の斎太郎節だった。

父の歌声は

幼なかった私の記憶の中でも

鮮やかに甦る。

上手く歌えると、とても誉めてくれて、

とても嬉しそうな顔をしてた。

音楽が私にとって切り離せない存在であることのルーツも

ここにあるのかもしれない。

その歌詞の中にある

瑞岩寺とは

どんなお寺なんだろう。

そんなすごいお寺なのか。。。

幼心に思ったものだ。

今回の二泊三日の旅は

どの部分を切り取っても

かけがえのないものとなった。

「秋風や旅の浮世のはてしらず」

                                                 正岡子規

古山拓さんの著書

『子規と歩いた宮城』「はて知らずの記」水彩紀行

最後のページには

『最も遠い果ては自分自身、そしてすべからく 果ては始まり

とある。

この一文は

何度読んでも

ぐっとくる。

この時期に

私を宮城の旅へと駆り立てたもの

それは何だったのだろう。

もちろん

この一冊の本を手にした時から

その旅は 始まっていたのだと思う。

一昨年の1月

長女と愛媛を旅したときにも

実は  正岡子規という存在に

出会っている。

その春に

神戸での古山拓さんの個展で

この著書と出会えたことも

導かれているような気がした。

古山拓さんによって紡ぎ出される

言葉のひとつひとつに

私は、いろんな場面で

背中を押してもらったと

改めて思う。

宮城の旅で

一番嬉しかったのは

やはり

出会いだなあ。。。

目の前にある大自然との出会い

人と人との出会い

娘との時間……

 すべてに溢れる

ぬくもりを

全身で感じられたこと。

ここに来れてよかった!

そう、心から思える旅となった。

すべてが愛しい。

古山拓さんの絵本「あしたのまちはどんなまち?」

拓さんからのメッセージにはこう書かれていた。

全ての人と明日はきっとつながっているんだ 2022.8.6

人生の旅のはてに到達するころ

少しでも  成熟しているだろうか。

果ては始まり!

そんな風に思える自分自身と

出会っていられたら

嬉しいそう思う。

宮城の旅で

出会っていただきました

古山拓さん 久美子さんご夫妻

作並温泉 岩松旅館の皆様

様々なお店の皆様……

ありがとうございました。

また、これからも

ゆっくりと

旅を続けていきたいと思います。

心からの感謝をこめて

+ + +

遠方の方々に届けることは、地元宮城の方々へ届けることとは意味自体が違っていたのです。

今まで旅を繰り返してきた自分に置き換えてもわかります。

旅の第一歩は、「遠く遙かな見知らぬ地に想いを馳せる」ことでした。

そのきっかけは僕の場合もやはり一冊の本だったり写真集だったりしたのです。

2013年に出版した本が10年たち、Nさんの人生の大切なページの役に立ったことが、本当に嬉しいです。

(当サイトで通販もしていますので、お求めはショップで。宮城旅にお出かけの際はぜひどうぞ^_^)